フランスで「ヴァン・メトード・ナチュール(Vin Méthode Nature)」の名称で自然派ワインの憲章がこの春から開始され、国立原産地名称研究所(INAO)、フランス農業省、フランス競争・消費・詐欺防止総局(DGCCRF)は、この名称を試験的にに認めることになりました。

「ヴァン・メトード・ナチュール」の憲章は2019年10月にワインの生産者や販売業者及び消費者によって確立されたヴァン・ナチュール保護組合(Syndicat de Défense des Vins Naturels)から発足されました。

「ヴァン・ナチュール保護組合」は昨今広がるナチュラル(自然派)やビオの基準が曖昧なものも数多く存在するため、協会独自に基準を設け、基準を満たすワインに認証マークを付けるようにしました。消費者に「どんなワインが自然派に当てはまるのか」を一目で分かりやすくするのが狙いです。

現在フランスのワイン製造者の100人以上が登録する予定です。また、他のヨーロッパの国も参加するようになれば、EU政府も公式に認める予定となっています。

「ヴァン・メトード・ナチュール」の名称と認証マークを得る為と条件を一部抜粋すると、

  • AB(アグリカルチャービオロジック)等、認定された有機栽培の葡萄を使用する。
  • 葡萄を手積みで厳選して収穫する。
  • 製造地域由来の野生酵母を使用して製造する基準に従う。

などが挙げられています。

認証マークは二つデザインがあり、丸いラベルの右下につくタグで区別されています。一つは亜硫酸(二酸化硫黄、SO2)を一切添加していないワイン(sans sulfites ajoutésと表記)、もう一つは亜硫酸を最大30 mg / Lまで添加されているワイン(< 30 mg/l de sulfites ajoutésと表記)となっています。

しかし亜硫酸添加が許されるのはワインの発酵が完全に終わった時期のみ、瓶詰や樽詰めの時にだけ使用する事と限定されています。一般的なワインの場合、醸造家の自分の思い通りのワインを作るために発酵を途中で中断したり、第二次発酵(マロラクティック発酵)を防ぐために亜硫酸を使用することがあるのでそれと区別するためです。他にもテルモヴィニフィカション(加熱殺菌法)、逆浸透膜、フラッシュ・パストゥリゼーション(瞬間殺菌法)、クロスフローフィルター(濾過の種類)など、いわゆる自然なプロセスを妨げる製法はヴァン・メトード・ナチュールでは認めないという厳しい基準を設けています。

(憲章全文はここで読むことができます。フランス語のみ)