ナゴミ・ヴィンヤーズは長野県東御市にある小さなワイナリーで、栽培から醸造・販売までのすべてを池 敬絃さんご夫妻が行っています。「自分たちの造るワインの主役は土地や畑そのものである」との思いを込め、ワイナリーの地名を冠し「ナゴミ・ヴィンヤーズ」と命名されたそうです。

池 敬絃さんと自然派ワインの出会いは15年ほど前。自然派ワイン好きの知人が夜桜見物の時に飲ませてくれたことがきっかけだったそうです。池さんの言葉をそのままお借りすると「夜桜を見ながら飲んだエドアルド・ヴァレンティーニのチェラスオーロは、区分としてはロゼですが、そのような区分が無意味なほど華やかで力強い味わいでした。」とのことで、自然派ワインとの出会いがいかに衝撃的なものであったのかが伺えます。その後もその知人に紹介してもらいながら、数多くの自然派ワインに親しむようになったとのこと。

東御市のヴィラデストワイナリーとアルカンヴィーニュで仕込み時期のスタッフとして経験を積み重ね、ぶどうがゆっくりとワインに変化していく過程を大切にすることがぶどうの個性を引き出し、ぶどうを尊重して作られたたワインは「加工品でありながら果実そのものでもある」という考えを持ち、自分自身の手でワインを造ることを目指し始めます。

2010年に東御市にてぶどう栽培を開始。2013年にソーヴィニヨン・ブランを、次の年にはシャルドネとピノ・ノワールを定植しました。2016年からは委託醸造を始め、ソーヴィニヨン・ブランのワインを醸造(2017年リリース)、翌年にはシャルドネとピノ・ノワールも追加し、3種類のワインを委託醸造(2018年リリース)しました。

そして2018年、満を持してワイナリー「ナゴミ・ヴィンヤーズ」を設立。ワイナリー開業当初は自然派ワインの仕込み経験を豊富に持つ醸造家に指導してもらいながら、2019年にファーストビンテージをリリースされました。

ナゴミ・ヴィンヤーズのラブルスカ・フリッツァンテは日本には珍しいペット・ナット(シャンパーニュ製法より古い製法で作られる微発泡ワイン)です。気軽に親しんでもらえるワインとして、生食用に栽培したぶどうを使用して作られています。秋に仕込んだものを年内にリリースし、12月のイベントシーズンや年末年始に楽しんでもらうことをご本人たちの楽しみとしながら取り組んでいらっしゃるとのことで、早飲みでも楽しめるようにSO2は無添加か、ごく少量にとどめられています。

できるだけ余計なものを加えず、減農薬栽培、野生酵母の使用にこだわり、ぶどうやワインの状態を観察しながら、今後更に自然なワイン造りに向かっていこうと考えて日々ワイン造りと向き合っている池さん。味わいを損なう滓は最小限を取り除き、好ましい滓なら残す。濾過をするかしないか。すべてワインと相談しながら決めるという姿勢から、ワインへの愛情を感じさせてくれます。

「ぶどうやもろみ、そして飲む人に優しいワインを造ることを心がけています。」と語る池さんのワインには、土地、ぶどう、人間、すべての自然に対する優しさが込められているようです。

ナゴミ・ヴィンヤーズのワイン