分子生物学の博士号を持つエイメ・ヴァディム(Aymé Vadim Sidorovitch)は、2015年にブルゴーニュのグランクリュワインの生産に特化したマイクロネゴスオーデガムメを設立しました。ヴァディムは、ワインとは無縁の、学者や、科学と医学を追求する医師の家系に生まれました。当然にように、彼は純粋に学問の世界でキャリアを始め、生化学の修士号を取得後、さらにモスクワ有数の名門校Engelhardt  Institute of Molecular Biologyで、分子生物学の博士号も取得します。(おもしろいことに、博士号の論文は酵母Saccharomyces cerevisiaeの遺伝子工学についてでした。) そしてプランク研究所、欧州分子生物学研究所、ハーバード大学医学部で研究を続けました。ボストン、ハーバード大学医学部在学中、彼は初めてワインについての本、エミール・ペイノーによる”The Taste of Wine”の英語訳を購入したのです。

 国際的な調査に20年を費やした後、ヴァディムはフランス語をまったく知らないままフランスのボーヌに移り、現地のワイン学校に入学しました。ワイン学校に通う学生のうちから、ブルゴーニュやフランス南西部のレストランにワインを販売する会社を設立しました。収穫の時期になると、さまざまなワインメーカーと共にワイン作りに参加し、毎年別のブドウ生産者のブドウを使いワイン作りを研究しました。また、ブルゴーニュ大学とディジョンインスティテュートデラヴィーニュエデュヴァンで研究を深め、ヴァディムは実践的な知識を体系化することに成功しました。

 最初のヴィンテージは2015年でした。ブドウは、最高品質の果実と最低の収量を持つ区画を吟味して選別しました。ブドウの二重選別、必要以上の除梗なし、天然酵母の使用が特徴となっています。何より、ワインの熟成中には手を加えることを最小限に抑え、熟成期間もじっくり長くとられます(24ヶ月以上。現在、2017年ヴィンテージのすべてのワインと2016年の一部の樽は、まだセラーに残されています)。二酸化硫黄は、春と瓶詰め前の2回のみ添加されます。ワインは、清澄もフィルターもかけられず、月の満ち欠けに従って、手で瓶詰めされます。